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たごもりすメモ

コードとかその他の話とか。

小中規模のIT系企業における技術的選択と雇用戦略に関する雑感

でっかい主語で入ったが、要するに2月にあちこち会社巡りをしたときに感じたことについてつらつら書こう、というのが目的。

特定の会社について書いてもしょうがないので、あれこれ*1回ったうちから少なくとも2〜3ケースで該当するなあ、と思ったことについて書く。特定の1社のみに該当する事項はこのエントリにはひとつも出てきません。
またエントリの主旨からして超上から目線になりますが、どうかご容赦ください。

これから成長が本格化するのでインフラを支えられる人材がほしい

正直に言ってこれが一番多かったパターン。スタートアップ的にサービスを作ってきたがその一方でデプロイや監視などの運用まわりが後手後手になっており、そのあたりを支えられる人物がほしい。

話としてはわかるのだが、気になったのは、これを聞くとき、詳しい内容を突っ込んでみると、どうも実際にはそう困ってはいない、というケースがほとんどだったように思えたことだ。単に人数が足りないとか優先順位が低いとかで後回しになっており、しかもそれがその時点では特段大きな問題になっていない。そのあたりについて質問してみても技術的なポイントが出てくるわけではない。

だったら問題になるまで放置しておけば? というのはまあ乱暴なんだけど、そうおかしくもない話だと思う。運用を先回りしてやれるのは、サービスが安定して相応の会社規模があるところだけに許される特権だと思っている。
会社/サービスが成長曲線の途中にあるなら、技術的問題が明確に指摘できないようなことにこだわるべきではない。サービスのことだけ考えよう。

これから成長が本格化するのでデータ分析基盤を作れる人材がほしい

これも多かった。これはもうこちらに書く機会があったので書いてしまったが、自分で作ってはいけない。使いましょう。

データ分析基盤を作ることそのものがサービスの根幹である場合を除いて*2、データ分析基盤がサービスにかかわってくるとき、焦点となるのはデータそのものか、ロジカルな分析手法にあるのであって、基盤そのものが競争力の源泉となるケースはほとんど存在しないはず。そして「これから成長が本格化する」という段階であれば、競争力の中核でないようなことに無駄な力を割くべきではない。

もうちょっと言うと、Hadoopやら何やらの環境は、作れば作れる。そこまではそう難しくない。しかし運用するのは非常に面倒で、基盤を作ってから2年も経つとあれこれ綻びが出始める。
新しい機能が欲しくてアップデートしたくなるが、分散処理ソフトウェア基盤のアップグレードというのは非常に面倒な仕事だ*3。特に業務がデータ分析に多大に依存しており、処理を止められないケースで困難が増大する。

反面、ざっと業界を見渡して、データの分散処理基盤をトータルに設計・構築・運用できる人の数はきわめて少ない。安定的に採用するのは不可能と言ってもよいくらいに少ない。
外部サービスの採用がコスト的に見合わないようなごく一部の大企業などでない限り、まずサービスの利用を最優先に考えるべきだ。作ってはいけない。

100%自己資本で経営しておりVCにわずらわされず仕事できる

経営の人がこれを言うとき、すごく得意そうに言われるのだが、自分には正直どうでもよい。誰の言うことが元になっていようが、経営方針は経営方針である。特に変わりはない。

というより、拡大志向は無いのかな、ということが気になる。がつんとサービスを大きくする、と言う一方で自己資本にこだわる旨のお話をされると、どっち、という感じ。あまりベンチャー的ノリを感じなくなるのは確かだと思う。新卒を雇って20年働いてもらうためにはいいのかもしれない。

高度な技術で日本の広告事業を支配する

それができたらGunosyやSmartNewsが既に日本を支配しているのでは。というかGoogleか。
いやもちろん個々の主張があるのだろうけど、技術的なアプローチに特殊な点が見えない状況でそのように主張するより、何がどうなっているから確実に勝てる、という差別化を先に済ませたほうがよいように見える。

あれとこれとそれをやりたいが、できる人がいない

御社に必要なのは共同経営者CTOか、あるいは何人もの技術顧問ではありませんか?

この点については、もっと技術顧問みたいな働きかたをする人が増えればいいのかなと思うことは多かった。フルタイムで関わるまでは必要なさそうに見えるが、もっと多くの働きかたや技術的視点を(おそらくはパートタイムで)必要としているように見える、という会社はたぶん思っていたより多い。

まとめ

最後だいぶ雑になったが、だいたいこんな感じ。こういった状況を俯瞰している人ってどこかにいるのかなあ。いるんだろうな。

(追記) 技術の話をしよう

大事なことを書くのを忘れていた。

中途で技術者を採用しようというとき、たぶん一番良いのは、技術の話をすることだと思う。何が技術的な差別化ポイントであり、本質的な技術的困難は何であり、今もっとも深刻な技術的課題は何か。
自分は技術的なチャレンジのあるところで働きたいし、おそらくカンファレンスなどの空気を見ていても、技術的なチャレンジのあるところに人の興味は引きつけられる。

だから、技術的困難な点として何があるか、という話をしよう。自分もそのような話がしたい。

*1:だいたい40社前後

*2:なおそのようなケースは話した中にはTreasure Dataしかありませんでした

*3:最近はCloudera ManagerやApache Ambariのおかげで多少は楽になっているかもしれないが。