たごもりすメモ

コードとかその他の話とか。

クラウド環境の設計指針をどう決めるか

クラウドに限らず、データセンタの設計全般に言えることだけど。

コンピューティング基盤をどのように設計するかには根本から異なるアーキテクチャが様々あって、ある特定の方向のアーキテクチャについても実現するためのソフトウェアやハードウェアに様々なものがある。
合議制で決めてはいけない。何を採用するか、どのように設計するかについては、誰かが英知をもって決断するべきだ。それも可能な限り素早く。


今更言うまでもないことだが、この世界は技術の変化が非常に速い。おそらく3年経てば優位な技術は入れ替わっていて、何か新しいトレンドとか技術要素だとかいったものが登場しているだろう。


そんな中で何を採用するかについて、長い時間をかけるのは簡単だ。3年かけて実機を多数揃えて比較検討すれば、検討開始からの3年間で何が優位だったかが確実にわかるだろう。
おそらくその頃には別の技術が登場し、更に3年の比較検討が必要になっているだろうけど。そして手着かずの古い環境は3年以上前から取り残されたままだ。そしてこれは自分が実検討するのでも、誰かの事例を待っているのでも変わらない。誰かが実証する間にその技術は時代遅れになる


机上検討を行うだけであっても、検討に例えば半年かけるのは馬鹿げてる。技術的な優位が3年しか続かないのだとすれば、そのうちの6分の1を無駄に消費したことになってしまう。おそらくは最も大規模な環境となり、最もコストメリットが得られるはずの最後の6分の1をだ。


行動開始から設計の決定までが可能な限り短い方がいい、ということはわかった。ではその短い期間で関係者を納得させられるだけの理由をつけてどれかの技術を選別できるのか?
そんなことは不可能だ。実証する時間もデータもなく、世界に正しい答えを出せる人間はいない。だから答えはひとつしかない。
技術的な素養のある人間がそれぞれの技術を精査し、個人的な確信だけを基にして決断することだ。


その人間が間違ったらどうするんだ? 選んだ製品の提供元が倒産したら? 半年後に出た製品の方が圧倒的に優れていたら?
どうって、責任を取らせるしか無いだろう。そのために現代にはCIOという役職があって、経営者扱いされているんだから。


悲しむべきことに日本では大抵の場合、このような体制になってはいない。これを読んでいるあなたの会社もたぶんそうだろう。
でもそれはあなたの会社の経営の問題であって、設計指針の問題でも、技術の問題でもない。