たごもりすメモ

コードとかその他の話とか。

RubyKaigi 2023に行ってきた

2020年に開催できなかったのち、3年を経て松本市で行われたRubyKaigiに行ってきた。自分は2020年のときはスポンサー企業の一人としてやることがある予定だったのが、3年経って、なんでもないいち参加者として行くことになったなど、いろんな変化を感じた。それでもほぼフルに参加者が戻ってきたいつものRubyKaigiでもあって、なんかもう、すごくよかった。

RubyKaigiの成果

聞いてきた

Implementing "++" operator, stepping into parse.y

Implementing "++" operator, stepping into parse.y - RubyKaigi 2023

とにかく最高だったのはしおい(@coe401_)さんのやつ。これはやっている内容といい、プレゼンそのものの楽しさといい、本当に最高だった。

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スライドでもいいけど、動画が公開されたら見てない人にはぜひ見てほしい。自分ももう一度見たい。最高。「これを実装する」という目的に対して、とれそうな手段をRubyのいろんなレイヤであれこれ試してて、順を追ってRubyのすごく深いところまでどんどん潜っていっているし、あちこちで使ってる手段が本当に目的のためには手段を選んでいない感じで面白すぎる。ちゃんとオチまでつけていて、プレゼンとしての完成度もすばらしい。

自分がいちばん好きだったのはBinding#local_variable_setをメソッドのレシーバ自身を置き換えるために使っているところで、普通そんなことはできないんだけど一度パーサを経由してるならパーサがレシーバ自身が格納されている変数の名前を知っているじゃん、っていう、もう最高としか言いようのない使いかたをしていた。

このトークを聞いていた他の人々と話していると、けっこうみんな「自分が最高にウケたポイント」が違っていて*1、それがこのトークの幅の広さを表してもいると思う。好き。

The future vision of Ruby Parser

The future vision of Ruby Parser - RubyKaigi 2023

いつもお世話になっている金子(@spikeolaf)さんのやつ。

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金子さんのパーサにかける情熱がどこから湧いてくるのかいまいちわからないんだけど、結果として我々*2に利益があるいろんな改善が行われている上に、話を聞いているととにかく楽しそうにやっているのが本当に好き。LTもそうだけど、話を聞いているとついうっかりparse.yをさわりそうになってしまう魅力があってたまらないと思う。しおいさんのトークもそういう背景があって出てくるのかなと思える。こういうふうに色々な個人をひっぱっていける魅力のある話はほんと聞いてて楽しい。好き。

Ruby JIT Hacking Guide

https://rubykaigi.org/2023/presentations/k0kubun.html#day3

@k0kubunさんのやつ。楽しそうにぴょんぴょんしながら話してるのを見てると楽しくなる。

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とにかくruby-jit-challengeをやるぞ! という気分。これ作って出してくれてほんと嬉しい。RubyKaigi前にちょっとRJITさわってみようとしたんだけど、あまりに情報がなさすぎて挫折したんだよね。k0kubunさんも、もうとにかく速くしたいんだな、というのが聞いてると常に伝わってくるのがじつによい。あとJIT民主化というか、これも多くの人を巻き込む方向の技術なのがすばらしいと思う。好き。

Multiverse Ruby

Multiverse Ruby - RubyKaigi 2023

@shioyamaさんのトークで、これは自分がLFAを作ったときの問題意識と思いっきりかぶってたのが印象的で面白く聞いていた。

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話の内容も書いているコードもいいんだけど、特に同じ問題意識の人がいるのを発見したのが嬉しかった。偶然にも2日目の夜中にパブ(Old Rock)で本人と同席できて、名前空間どうにかしたい!!!!! っていう話でものすごく盛り上がった。これからしばらく自分がプライベートでやりたい活動に直結してて、もしかしたらこれがこのRubyKaigiで自分に一番大きい影響があったかもしれない。

Authorsrb & Fluentd実践入門販売

RubyKaigi本体では書店は出ないけど、最近本を出したRubyistで野良企画スタンプラリーをやろう、という #authorsrb に誘っていただいた。んで当日サイン会もやろうかという話になっていたので、だったら自分の本もあったほうがいいかなと思って急遽準備して会場でFluentd実践入門の手売りもやっていた*3

もう出てから半年以上経つし、そもそもRubyそのものの本でもない。ということで2〜3冊くらい売れるかなとか思ってたんだけど、今回松本に持っていったぶんは2日目の昼には全部売れてしまった。さらにまだ数人の方からないんですかと声をかけていただいたので、ちょっと持っていく数を誤ったかもしれない。でも、あまりに急遽準備したので、やれるだけはやった。会場だとこんなの買ってもらえるんだというのはすごい。あと実際にお金をいただいて売るという行為、だいぶ久しぶりにしたけど、これはなんつーか、いいですね。

その中でも、Fluentd実践入門が実際に役に立ったという話を聞かせてもらったりもして、本当にやってよかった。#authorsrb のスタンプラリーで声をかけていただくことも多かったし、他の著者陣の人達といっしょにやってる感もあって、楽しい&嬉しいイベントだった。

そのほかKaigi中のこと

RubyKaigi Day -1 のAsakusa.rbから始まってずーっと人としゃべってた感じ。Shopifyからの人達とも去年はあまりしゃべる機会が作れなかったけど、今年は話しておきたかった人達と話せてよかった。今回はやんちゃハウスに泊まったので、そこでもいろんな人と話ができた。モリスハウスを京都でやって以来で、毎回これでなくてもいいかなとは思うけど、やっぱこういうのも楽しいですね。モリスハウスまたやってみるのもいいなあ。

久々の人とも話せたし、でも人が多過ぎてあの人もいたはずなのに話せなかったなあというのもあるし。個人的な目的だったいくつかの会話はできたのでよかった。

自分のトークがないのはさびしい

しかし、本来はこのRubyKaigiに参加できない予定だったのを突然来ることになったのもあって、自分のトークは何もできなかった。去年のRubyKaigi 2022でもしなかったので、2回連続で壇上で何も話していない。これはなんというか、寂しいなあというか、悲しいなあというか。これに慣れちゃうと、なんか昔やってたらしいけど今はたんにカオが大きいだけ、みたいになっちゃうのかな。嫌だ……。

ということで、やることを決めたので書いたのが名前空間が欲しいの話。やるぞ!

*1:"+" "+"を"+="と"1"に置き換えるのもよかったですね……

*2:誰だろうね

*3:RubyKaigiの3日前!に「会場で売りたいんですけど……」という相談をもちかけるという、極めてひどい進行に @inao さんふくめ技術評論社の方々には本当にお世話になりました